消化器内視鏡の進歩:Progress of Digestive Endoscopy
Online ISSN : 2189-0021
Print ISSN : 0389-9403
症例
直腸肛門部悪性黒色腫の1例
富川 盛啓堀向 文憲平原 美孝斎藤 徳彦月岡 健雄大石 卓爾片山 信仁福永 淳笹川 道三固武 健二郎國廣 理五十嵐 誠治井村 穣二島村 香也子
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1994 年 44 巻 p. 136-138

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抄録

 症例は58歳男性。肛門出血を主訴に近医を受診し,精査・生検の結果,直腸肛門部悪性黒色腫との診断にて当院を紹介され,入院となった。注腸および内視鏡検査で,肛門管から直腸下部にかけて,直径2-3cm大の辺縁不整な隆起が2個接している像を認めたが,典型的な黒色調は示さなかった。術後の病理組織学的診断は「低色素性悪性黒色腫」であった。悪性黒色腫の診断において,一般的に生検は禁忌であるとされているが,無色素性もしくは低色素性の悪性黒色腫の場合,本例のように特徴的な黒色調を示さないことが多く,内視鏡的に診断することは困難である。直腸癌と悪性黒色腫とでは治療法の選択が異なる場合があり,現状ではその確定診断のために,やむをえず生検に頼らざるをえないことが多い。

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© 1994 一般社団法人 日本消化器内視鏡学会 関東支部
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