1994 年 44 巻 p. 143-146
症例は55歳女性。上腹部痛を主訴に来院。腹部超音波検査で先天性総胆管拡張症を疑われ入院。内視鏡的逆行性膵管胆管造影(ERCP),胆道二重造影で,総胆管の紡錘状拡張と総胆管結石および総胆管の一部に壁不整がみられた。また,総胆管は主膵管に鋭角に合流し,共通管の長さは20mmであった。精査目的にて経皮経肝的胆道鏡および細径超音波プローブを用いて,胆管内超音波検査(IDUS)を施行。癌合併を示唆する所見は認めなかったが,IDUSにて膵実質内で総胆管と主膵管が合流する所見がリアルタイムに得られ,膵胆管合流異常が確診できた。現在,IDUSはプローブの改良により乳頭切開を必要としない胆管内挿入と走査が可能となりつつある。本症例では共通管が長く,ERCPにて診断可能であったが,実際の臨床においては共通管が短く,診断に迷う症例も存在し,今後ERCP施行時にIDUSを併用することで,より正確な診断が可能になるものと考えられる。