消化器内視鏡の進歩:Progress of Digestive Endoscopy
Online ISSN : 2189-0021
Print ISSN : 0389-9403
症例
直腸内分泌細胞癌の1例
浅川 博佐藤 泰弘中林 知子金木 昌之田中 文彦稲玉 英輔柴田 博之鳥居 明戸田 剛太郎
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キーワード: 直腸内分泌細胞癌
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1994 年 44 巻 p. 139-142

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抄録

 症例は40歳女性。平成2年10月頃より便に鮮血の付着をみたが放置していた。症状が改善しないため,平成3年9月当科を受診し,注腸造影および大腸内視鏡検査にて,直腸に直径15mmの円形隆起を認めた。病変は正色調で,表面は凹凸不整,易出血性であった。組織学的に核小体の鮮明な大小不同の核を有する細胞がシート状に増殖し,Grimelius染色強陽性,脈管侵襲および神経侵襲を認めることも考え合わせ,内分泌細胞癌と診断された。大腸内分泌細胞癌はまれな疾患で,内視鏡的にsm浸潤の分化型腺癌あるいは定型的カルチノイドなどと鑑別が困難である。しかし本症は,これらに比して予後は極めて悪いとされており,生検組織での正確な診断が重要であると考えられたため報告した。

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© 1994 一般社団法人 日本消化器内視鏡学会 関東支部
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