消化器内視鏡の進歩:Progress of Digestive Endoscopy
Online ISSN : 2189-0021
Print ISSN : 0389-9403
臨床研究
拡大電子内視鏡と帯域強調処理を用いた胃隆起性病変の診断
本田 徹竹下 公矢谷 雅夫神戸 文雄斉藤 直也遠藤 光夫
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1994 年 44 巻 p. 68-72

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抄録

 胃隆起性病変(過形成性ポリープ28病変,小ポリープ24病変,胃腺腫9病変,Ⅱa型早期胃癌37病変,ⅠまたはⅠ+Ⅱa型早期胃癌18病変)を対象に,腺口や窩間部といった粘膜微細構造を拡大電子内視鏡(オリンパス社製GIF-V10Z,XGIF-200Z,XGIF-200HM)を用いて観察するとともに,RGB画像としてコンピューターに記録後,帯域強調処理を行い,粘膜微細構造が明瞭化された内視鏡画像を得た。あわせて実体顕微鏡観察を行い,拡大内視鏡画像と対比するとともに病理組織学的検索を行った。過形成性ポリープは,粘膜固有層のうっ血,浮腫などによる発赤調の腫大した窩間部が特微であった。胃底腺ポリープは規則的に分布する円形の腺口が観察された。胃腺腫は白色調で,比較的規則的に分布する腺口や窩間部が観察された。隆起を呈する早期胃癌は,不規則な形状をとる腺口や窩間部が観察された。以上より,拡大電子内視鏡を用いた粘膜微細構造の観察は,胃の隆起性病変の鑑別診断に有用であり,内視鏡診断能を向上させると考えられた。

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© 1994 一般社団法人 日本消化器内視鏡学会 関東支部
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