消化器内視鏡の進歩:Progress of Digestive Endoscopy
Online ISSN : 2189-0021
Print ISSN : 0389-9403
症例
腹腔鏡検査にて診断した肝鎌状間膜欠損症(亜全欠損型)の2例
松本 茂藤子横山 孝典松尾 英男斎藤 光浩今村 真紀子徳植 秀樹柴山 淳高須 政夫中島 洋斎藤 昌三
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1995 年 46 巻 p. 112-114

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抄録

 症例1は54歳男性。糖尿病と肝機能障害の精査目的にて入院となり,腹腔鏡検査を施行した。肝円索は認めたが,肝鎌状間膜はドーム下に一部残存するものの,大部分が欠損していた。通常の肝鎌状間膜の部位には白色瘢痕を認めた。2年後,HCV抗体陽性にて肝機能の増悪を認めたため,再度腹腔鏡検査を施行したが,肝鎌状間膜欠損に変化は認められなかった。症例2は58歳女性。肝機能障害の精査目的にて入院となり,腹腔鏡検査を施行した。1例目と同様に肝円索は認めたが,肝鎌状間膜はドーム下に一部残存するのみで,大部分が欠損していた。白色瘢痕も同様に認められた。また,横隔膜と肝表面に多数の索状の癒着を認めた。肝鎌状間膜欠損症の報告例は少なく,国内外で28例の報告があるが,そのうち22例はイレウスを発症し,手術にて発見されている。本症例のように,腹腔鏡にて偶然発見されているものは本邦では6例のみであり,まれと考えられ報告する。

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© 1995 一般社団法人 日本消化器内視鏡学会 関東支部
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