1995 年 47 巻 p. 102-105
99歳男性が嚥下困難を主訴に来院。食道造影および上部消化管内視鏡で,中部食道に不整な辺縁を持つ全周性狭窄が認められた。生検の結果は高分化型扁平上皮癌であり,食道進行癌と診断した。年齢などより手術適応なしと判断し,金属ステント(Ultraflex®,Microvasive社製)を使用して狭窄解除を施行した。嚥下困難は改善し,術直後を除き疼痛などの自覚症状もなかった。術後3カ月の時点でステントの開存状態は良好で,挿入位置の移動もなかった。同ステントは従来のプラスチック・ステントに比べ,①挿入時の操作がより容易,②柔軟なため屈曲部への使用が可能,③固定性が良好,④術後再狭窄に対する再治療が可能,⑤自覚症状が少ないなどの点で優れていた。