消化器内視鏡の進歩:Progress of Digestive Endoscopy
Online ISSN : 2189-0021
Print ISSN : 0389-9403
症例
大腸X線検査の前処置が原因と思われる虚血性大腸炎の1例
月岡 佳久円岡 寿伊藤 喜三男日高 康夫片桐 敏郎荻野 達夫堀向 文憲
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キーワード: 虚血性大腸炎, 下剤
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1995 年 47 巻 p. 109-112

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抄録

 虚血性大腸炎は,緊急内視鏡検査時に発見される最も頻度の高い疾患の1つである。患者は68歳,男性。S状結腸癌のため3年前にS状結腸切除術を受けており,その経過観察目的に大腸X線検査予定となった。大腸X線検査の前処置として,粉末クエン酸マグネシウム1包とピコスルファートナトリウム10mlを服用し,大量下痢のあと腹痛,血便が出現し,緊急大腸内視鏡検査を施行した。吻合部口側より横行結腸中部まで出血やびらんを認め,粘膜全体も浮腫状を呈していた。臨床症状,緊急大腸内視鏡検査,大腸X線検査および病理学的所見などにより虚血性大腸炎と診断した。3日ほどで症状は軽快し,一過性型の虚血性大腸炎であった。大腸検査の際,本疾患の可能性も念頭に置き前処置を行う必要があると思われる。

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© 1995 一般社団法人 日本消化器内視鏡学会 関東支部
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