消化器内視鏡の進歩:Progress of Digestive Endoscopy
Online ISSN : 2189-0021
Print ISSN : 0389-9403
症例
大腸早期印環細胞癌の1例
金井 明彦森 淑美金田 繁樹木幡 義彰中島 昌人清水 直樹渡辺 浩一片山 麻子田口 夕美子白鳥 泰正宮岡 正明斉藤 利彦
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キーワード: 大腸早期癌, 印環細胞癌
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1996 年 49 巻 p. 122-125

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抄録

 症例は47歳,女性。平成5年3月,検診で便潜血反応陽性を指摘された。大腸X線検査では横行結腸に有茎性ポリープを,大腸内視鏡検査で同部位に25mm大の表面に凹凸のある発赤調ポリープを認め,スネアポリペクトミーを施行した。病理組織像では深達度smの高分化型腺癌であった。2カ月後の大腸内視鏡検査では,ポリペクトミー後の瘢痕部口側に8mm大の無茎性ポリープを認めた。ポリペクトミーした病理組織像は深達度mの印環細胞癌であった。横行結腸部分切除術を施行したが,切除標本には癌細胞の残存はなかった。両病変の関連を考慮し連続切片を作成したが,初回病変は切除断端に高分化型腺癌が確認され,分割切除された可能性が示唆された。また2カ月後の病変は印環細胞癌で,連続切片のいずれにも両組織の混在はなかった。今回われわれは,特異な経過で発見された大腸早期印環細胞癌症例を経験したので報告した。

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© 1996 一般社団法人 日本消化器内視鏡学会 関東支部
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