消化器内視鏡の進歩:Progress of Digestive Endoscopy
Online ISSN : 2189-0021
Print ISSN : 0389-9403
臨床研究
内視鏡的萎縮と13C尿素呼気試験の検討
河合 隆中村 和人上田 剛史六川 博子高瀬 雅久中川 雅夫白鳥 泰正西里 吉則山本 啓一郎松本 有右笹津 備規水口 泰宏川口 実斉藤 利彦
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1998 年 51 巻 p. 63-66

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抄録

 H.pyloriの診断において,13C尿素呼気試験(UBT)が非侵襲的検査法として期待されている。今回われわれは,UBTと培養法の一致率および,UBT値と内視鏡的萎縮パターンとの関連について検討した。対象は消化性潰瘍および慢性胃炎患者66例である。内視鏡検査にて内視鏡的萎縮パターン(木村・竹本の分類 : C-3~O-3)に分類した。さらに前庭部大弯,体上部大弯より胃粘膜を採取し,変法スキロー培地に接種し微好気条件にて4-7日培養後,H.pyloriの有無を同定するとともに,生検材料を懸濁した液を10~1000倍に希釈して同様に培養し,H.pyloriの菌量の測定も行った。UBTの測定は尿素100mgを服用し,15分後に呼気を採取し,Δ13C(UBT値)を算出した。カットオフ値は5‰とした。UBTと培養法による比較より,感度は94.7%,特異度100%であった。UBTの有用性が確認された。内視鏡的萎縮パターンの拡がりが高度なほど,UBT値の有意な低下を認めた。培養陽性にもかかわらずUBT陰性であった3例は,いずれも萎縮パターンが高度に拡大したO-3であった。さらにUBT値とH.pyloriの菌量の間に有意な相関関係は認められなかった。UBTによりH.pyloriの存在診断をする場合には,内視鏡的萎縮の程度を考慮する必要があると思われた。

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© 1998 一般社団法人 日本消化器内視鏡学会 関東支部
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