消化器内視鏡の進歩:Progress of Digestive Endoscopy
Online ISSN : 2189-0021
Print ISSN : 0389-9403
臨床研究
左側大腸癌狭窄に対する金属ステント内瘻術
斉田 芳久炭山 嘉伸高瀬 真中村 陽一長尾 二郎
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1998 年 51 巻 p. 72-75

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抄録

 左側大腸癌は,他の部位の悪性腫瘍と比較して狭窄を起こしやすい。通過障害によってイレウスをきたすだけでなく,術前の前処置に難渋し,汚染手術の危険性や二期的手術を選択せざるを得ない場合が多い。われわれは,1993年11月より通過障害を伴った全周狭窄型左側大腸癌に対しては,透視下および大腸内視鏡下にガイドワイヤを挿入後,メタリックステントを挿入し内瘻化する手技,stent endoprosthesis for colorectal cancer(SECC)を開発し,第一選択としている。これにより狭窄部を拡張し,腫瘍口側の減圧とともに,その後の良好な機械的前処置が可能となる。そのため安全な一期的手術を行うことができ,術後手術成績の向上が期待できる。現在までに26例にSECCを施行し,22例85%に挿入可能であった。挿入可能例の腫瘍占拠部位は直腸,S状結腸であった。ステント挿入から手術までの期間は最長16日間,平均6.1日であった。挿入可能例は,全例良好な術前処置ができた。本法の利点は,狭窄部に金属ステントを挿入することにより狭窄部を拡張し,口側腸管の減圧をはかり,十分な機械的洗浄ができること,また狭窄部が拡張されることにより,バリウムなどを用いた口側腸管の検索が可能となること,またイレウス発症時は待機手術が可能となり,術後手術成績の向上が期待できること,他の減圧処置に比較してtubeなどの留置の必要がないため,運動制限もなく,挿入中のquality of lifeが良好であることである。

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© 1998 一般社団法人 日本消化器内視鏡学会 関東支部
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