消化器内視鏡の進歩:Progress of Digestive Endoscopy
Online ISSN : 2189-0021
Print ISSN : 0389-9403
臨床研究
胆膵疾患におけるMRCPの有用性―ERCPを対照として―
白須 恭子木田 光広今泉 弘国東 幹夫渡辺 摩也木田 芳樹西元寺 克禮磯部 義憲
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キーワード: MRCP, ERCP, 胆膵疾患
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1998 年 51 巻 p. 76-80

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抄録

 造影剤を使用せず,非侵襲的に胆道,膵管の画像を得ることができるmagnetic resonance cholangio-pancreatgraphy(MRCP)は,近年臨床において汎用されはじめている。そこで今回われわれはERCPを対照として,MRCPの臨床的描出能,診断能および有用性について検討した。胆膵疾患を疑われ当院に入院した患者で,ERCPおよびMRCPを施行した121例を対象とした。それぞれの症例におけるMRCPの胆道および膵管の描出率を検討した。また,ERCPで得られた所見とMRCPの所見とを比較し,診断能も検討した。使用機種はSigna Horizon Hispeed 1.0Tを使用し,呼吸同期fast spin echo法で施行した。MRCPにおける胆道系の描出能はそれぞれ肝内胆管68.6%,総胆管85.1%,総胆管92.6%,胆囊管76.9%,胆囊92.4%であった。一方,膵管の描出能に関しては,頭部63.7%,体部59.5%,尾部51.2%,サントリーニ管6.6%であり,胆道系に比べ低率であった。また胆道系の診断能は胆石82.8%,胆管癌83.3%,総胆管結石71.4%,胆囊ポリープ66.7%,胆囊癌60.0%,乳頭部癌50.0%,胆囊腺筋症40%であった。膵疾患の診断能は膵囊胞83.3%,膵臓癌57.1%,慢性膵炎50.0%,膵胆管合流異常50.0%と,胆道疾患にくらべ低率であった。MRCPは現時点ではERCPと比較し小病変の診断などに限界はあるが,非侵襲的に胆管膵管の画像が得られる検査であり,胆膵疾患の診断法として今後の発展が期待される。

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© 1998 一般社団法人 日本消化器内視鏡学会 関東支部
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