消化器内視鏡の進歩:Progress of Digestive Endoscopy
Online ISSN : 2189-0021
Print ISSN : 0389-9403
症例
いわゆる胃の“hamartomatous inverted polyp”の1例
加藤 真吾寺畑 信太郎吉田 由紀子渡辺 義則永松 秀康石井 直樹岡田 千津子山口 勉岩井 淳浩永尾 重昭伊藤 和郎
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1998 年 51 巻 p. 92-95

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抄録

 症例は57歳,男性。検診の胃X線検査にて胃隆起性病変を指摘された。内視鏡検査にて体上部小彎に直径約3cmの山田Ⅳ型ポリープを認めた。ポリープの頭部は胃底腺粘膜様で,茎部は萎縮調の粘膜であり,過形成性ポリープを疑った。またポリープの頭部に陥凹部分が認められ,癌化している可能性もあるため,内視鏡的ポリペクトミーを施行した。ポリープは径2.7×3.2×3.0cmで,表面は腺窩上皮で覆われており,粘膜下層には樹枝状に増生する平滑筋束と,囊胞状に拡張した大小不同の腺管構造が認められた。またポリープの所々に腺窩上皮が粘膜下層に反転増殖している像が認められ,本ポリープは極めてまれなhamartomatous inverted polypに一致するものであると診断した。本ポリープはほとんどが単発で存在し,過誤腫性ポリポーシスとは異なり,他の消化管には異常を認めないのが特徴である。

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© 1998 一般社団法人 日本消化器内視鏡学会 関東支部
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