消化器内視鏡の進歩:Progress of Digestive Endoscopy
Online ISSN : 2189-0021
Print ISSN : 0389-9403
臨床研究
食道静脈瘤に対する内視鏡的硬化療法と結紮術併用法の有用性―硬化療法との効果および合併症の比較―
遠藤 徹大舘 敬一山崎 聖二重田 博田添 貴史安彦 隆一沼野 真土屋 肇植木 彰敏星野 照夫二階 亮稲葉 博之喜多島 聡林 毅吉田 秀樹草刈 幸次
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1998 年 52 巻 p. 57-61

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抄録

 待機,予防例の食道静脈瘤治療に内視鏡的硬化療法(5%ethanolamine oleate ; EOの血管内注入)と内視鏡的静脈瘤結紮術(EVL)を初回に同時併用したvariceal sclero-ligation(VSL)法34例と,EVLを施行し,後日1%Aethoxysklerol(AS)による硬化療法を追加治療する異時性併用法24例を,当院で従来施行してきたEO・ASを併用する食道静脈瘤硬化療法(two-step EIS法)72例と比較検討した。食道静脈瘤荒廃効果はそれぞれ97.1%,91.7%,84.7%で,VSL法が最も荒廃効果が高く,two-step EIS法との間に統計学的有意差を認めた(p<0.01)。静脈瘤消失例では累積出血率には差がみられなかった。また,治療に要した回数は差がなかったが,硬化剤(5%EO)の総量はVSL法がtwo-step EIS法に比べ有意に少なかった(p<0.01)。併存した胃静脈瘤の荒廃効果は64.7%,0%,81.1%で,異時性EVL・EIS併用法では胃静脈瘤への効果はみられなかった。また,合併症の頻度は50.0%,33.3%,75.0%で,two-step EIS法が最も高かった。食道静脈瘤治療に静脈瘤の荒廃効果が高く,合併症の少ないVSL法は今後有用な静脈瘤治療手技となりうる可能性が示唆された。

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© 1998 一般社団法人 日本消化器内視鏡学会 関東支部
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