消化器内視鏡の進歩:Progress of Digestive Endoscopy
Online ISSN : 2189-0021
Print ISSN : 0389-9403
臨床研究
上部消化管内視鏡検査時のヨード染色の検討
幸田 隆彦八巻 悟郎尾崎 幹大浦 通久松本 悟大倉 康男志賀 俊明野本 一夫西澤 護
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1998 年 52 巻 p. 62-65

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抄録

 食道表在癌発見のためのヨード染色法の有用性と至適撒布間隔の検討を行った。1980年から1996年までに発見された食道表在癌の中で,初回検査でヨード不染なしと診断されたが,その後の検査でヨード不染が判明し癌と診断された群(A群),初回検査でヨード撒布が行われず,その後の検査でヨード不染が判明し癌と診断された群(B群)の2群(A群6名,B群6名)を抽出し,深達度ならびに検診間隔を比較した。A群の6例をみると,深達度はm15例,m31例で,A群の平均検診間隔は29カ月(18-36カ月)であった。同様にB群の6例をみると,深達度はm21例,m3以深5例,平均検診間隔は38カ月(14-60カ月)であった。以上より,A群とB群の深達度を比較することにより,ヨード染色法はm2までの癌の発見に有用であるものと考えられた。また,ヨード染色法により不染がなければ,ヨード撒布を行う検診間隔は,A群のデータから2年程度が適当と思われた。ヨード撒布の検診間隔に関しては,prospectiveに今後検討を加えていく必要性があるものと思われた。

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© 1998 一般社団法人 日本消化器内視鏡学会 関東支部
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