消化器内視鏡の進歩:Progress of Digestive Endoscopy
Online ISSN : 2189-0021
Print ISSN : 0389-9403
症例
感染性腸炎を契機に診断されたびまん浸潤型大腸癌の1例
六川 博子白鳥 泰正高瀬 雅久河合 隆中川 雅夫勝又 健次山本 啓一郎宮岡 正明斎藤 利彦
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1998 年 52 巻 p. 78-81

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抄録

 症例は41歳,男性。1996年11月下旬頃より下痢,次第に鮮血便が出現。12月中旬より症状が増悪したため12月24日当院初診し,貧血強く同日入院となった。翌日の便培養にて病原性大腸菌(O1)が検出された。大腸内視鏡検査で,下部大腸には散在性に小さなびらんを認め,生検組織像では感染性腸炎の所見であった。深部大腸に挿入すると肝弯曲部に立ち上がり急峻な隆起を,口側は管腔の狭小化と白苔を伴った易出血性の粘膜を認め,生検組織は印環細胞癌であった。注腸検査では肝弯曲部より上行結腸にかけて,広範な鉛管状狭窄と肛門側に腫瘤陰影を認めた。骨盤CTでは上行結腸に一致して辺縁不整な腫瘤像があり,周辺への浸潤を疑わせる所見であった。以上より原発性びまん浸潤型大腸癌と診断し,2月3日拡大右半結腸切除術,胃空腸吻合術が施行された。今回感染性腸炎を契機にびまん浸潤型大腸癌を診断しえたので報告する。

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© 1998 一般社団法人 日本消化器内視鏡学会 関東支部
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