消化器内視鏡の進歩:Progress of Digestive Endoscopy
Online ISSN : 2189-0021
Print ISSN : 0389-9403
症例
十二指腸と上行・横行結腸に多発したhepatoid adenocarcinomaの1例
宮尾 直樹芹澤 宏高石 官均渡辺 憲明熊谷 直樹濱田 慶城土本 寛二倉持 茂三浦 総一郎日比 紀文石井 裕正
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1998 年 52 巻 p. 74-77

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抄録

 症例は74歳男性。平成8年12月より食欲低下,立ちくらみが出現。半年で15kgの体重減少も認め,平成9年7月当院に来院。血液検査でHgb5.7mg/dlのため入院となった。上部消化管検査では異常なく,注腸検査で上行結腸に全周性の狭窄病変と横行結腸に径2.5cmの腫瘤を認めた。大腸鏡では横行結腸に不整形の腫瘍,上行結腸肝弯曲部にBorrmann3型腫瘍を認め,生検で両病変とも腺癌と診断された。CT,エコー上,肝など他の臓器に転移巣はなく,7月15日外科的手術を施行した。術中,十二指腸Treitz靱帯部にも5cm大の腫瘤が確認され,右半結腸切除,十二指腸切除を施行,病理学的に腫瘍はAFP陽性のhepatoid adenocarcinomaと診断された。本症の上下部消化管での多発症例は極めてまれであり報告する。

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© 1998 一般社団法人 日本消化器内視鏡学会 関東支部
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