消化器内視鏡の進歩:Progress of Digestive Endoscopy
Online ISSN : 2189-0021
Print ISSN : 0389-9403
症例
結節状形態を呈した径27mm大の扁平な大腸過形成性ポリープの1例
福田 昌義山田 弘徳大塚 誉子松本 栄直日野 いづみ中嶋 秀麿高木 直行池延 東男市川 平三郎斉藤 彰一池上 雅博
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1999 年 54 巻 p. 81-84

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抄録

 症例は60歳,男性。平成9年4月より便秘,下痢を主訴に当院を受診した。注腸検査にて,上行結腸に径27mm,表面に凹凸のある隆起性病変を認めた。大腸内視鏡検査では,径20mm以上のⅡa+Ⅰ型,白色調,表面結節状のポリープであった。生検組織診断では過形成性ポリープ(以下HP)であったが,径が大きくserrated adenomaも否定できなかったため,内視鏡的粘膜切除術を施行した。病理組織診断では,腺管は鋸歯状構造を呈し,典型的なHPであった。Mib-1染色を施行し,増殖細胞帯を検討したところ,標識率は腺底部で21.6%,表層部で0.7%であった。本症例の増殖細胞は,通常のHPと同様腺底部に優位であったが,標識率は低値で,正常粘膜に近似しており,このことが20mm以上の大きい病変にもかかわらず,扁平な形態を呈した一つの要因である可能性が示唆された。

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© 1999 一般社団法人 日本消化器内視鏡学会 関東支部
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