干拓年次を異にした児島湾干拓水田土壌について各種の抽出法を用いて溶出されてきたFeとMnを比較検討した。その結果,MnはFeと異なり一般にMEHRA-JACKSON法(Mn_d)や川口・松尾法(Mn_m)よりTAMM法(Mn_o)の方が多く溶出された。そしてMn_o/Mn_d, Mn_o/Mn_mの値は干拓年次の古いものほど小さい傾向を示した。このようにMnとFeの抽出剤に対する溶解傾向が異なったので人工の酸化マンガン6種を作ってそれらの溶解性を検討したところ,人工物についてはFeと同様の溶出傾向を示した。このことから水田土壌中のMnの形態は単純な酸化物ではないかもしれないと考えられた。Feについては活性度(Fe_o/Fe_d)は割に幅があるが結晶化指数(Fe_d-Fe_o/Fe_t)はきわめて低く,0.1以下であった。