ペドロジスト
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腐植質アロフェン土の腐植の本質におよぼす水稲栽培の影響
徳留 昭一菅野 一郎
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1976 年 20 巻 1 号 p. 24-30

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抄録

腐植質アロフェン土の腐植のグループ組成と腐植酸の高いAromaticityは日本のほかの土壌型の腐植にみられない独自の性質をもっている(TOKUDOME and KANNO, 1965a, b; 菅野, 1971)。このような腐植が水稲栽培によってどのような影響をうけるかという問題は土壌肥沃度の面からはもちろんのこと生成学的にもきわめて興味がある。水稲栽培によって,土壌は一時的に排水されることもあるが(中干しによる),年間の約4ヵ月間湛水状態におかれ,さらに耕起,潅水にともなう微細な土壌粒子の搬入,施肥(有機物と化学肥料の),石灰施用,除草,そのほかの人為的影響をうけるばかりでなく,自然状態とは異なり,収穫物(玄米や茎葉)の搬出と切株や茎葉残渣などの地上部と残根などの新鮮有機物の供給をうける。このような水稲栽培の処置が腐植質アロフェン土(原野)の腐植におよぼす影響を知るために,水稲栽培期間を異にした腐植質アロフェン土に由来する水稲土のApg層と原野のA_<11>層との腐植のグループ組成と腐植酸の本質とを検討した。分析法は既報(TOKUDOME and KANNO, 1965a, b)のものと同じである。

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© 1976 日本ペドロジー学会
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