母材の異なる本邦山岳ポドゾル3点とソ連のポドゾル1点について,一般理化学的性質,遊離酸化物および腐植の形態などを検討した。その結果はつぎのとおりである。1)山岳ポドゾルはいずれの土壌も塩基の溶脱がはげしく,塩基飽和度は全層にわたりほとんど10%以下であった。2)山岳ポドゾルでの遊離アルミニウムの溶出量はH_2O_2処理が最も少なく,0.3Mクエン酸ナトリウム加熱処理,脱鉄処理,TAMM処理の3つの処理では,十文字ではほとんど同じであったが,大日ではTAMM処理が多かった。遊理鉄の溶出量は脱鉄処理が最も多く,H_2O_2処理ではほとんど溶出しなかった。3)山岳ポドゾルのB層での遊離アルミニウムの集積ピークは,遊離鉄の集積ピークよりも下部にあり,アルミニウムの方が鉄よりも移動しやすいものと考えられた。4)ソ連のポドゾルでは,遊離鉄・遊離アルミニウムの溶出量は0.3Mクエン酸ナトリウム加熱処理,脱鉄処理,TAMM処理の3つの処理でほとんどかわらなかった。5)山岳ポドゾルのB層の腐植はほとんど大半がフルボ酸であり,その量は断面内の遊離酸化物の分布と密接な関係があると考えられ,また腐植酸は腐植化度が低く,P型あるいはRp型であった。
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