抄録
著者らの提案した腐植組成分析法(KUMADA et al. 1967)を各種の土壌に適用した結果については,これまでに順次発表してきた。最近にいたり,H_E-PQ図が土壌腐植の特徴を把握する手段として有効であることを知ったので,既往の分析植に他の研究者の結果と若干の未発表データを加えて,多少の検討を行なった。その概要を予報的に報告する。ここにいうH_E-PQ図とは,H_E値(対数値)とPQ値を両軸とする2次元図であって,H_EとPQはそれぞれ,全抽出腐植量(土壌1g当りの腐植酸とフルボ酸の0.1N KMn O_4消費量, m1),全沈殿部割合(腐植酸とフルボ酸の合量に対する腐植酸の割合,パーセント)を意味する。ある土壌の各層位のH_EとPQをこの図にプロットし,それらを直線で結ぶことにより,その土壌断面の腐植組成の一面が表現される。