抄録
土壌中の硫酸イオンの抽出法については,アメリカ土壌科学会(SSSA)の定める方法が最も一般的に用いられている。しかしながら,硫酸イオンの蓄積能が高い火山灰土壌では,SSSAの抽出法について再検討が必要であると考えられた。そこで,母材を異にする2つの土壌(硬砂岩由来褐色森林土および火山灰由来褐色黒ぼく土)について,土壌中の硫酸イオンの全量を抽出するために,リン酸二水素カルシウムを用いた5回連続抽出を行った。両土壌とも,抽出5回目で硫酸イオンがほぼ検出されなくなり,5回目までにその全量が抽出されると考えられた。5回連続抽出の合計量とSSSAの定める1回抽出量との間には,2つの土壌で異なる回帰係数が得られ,従来のSSSAの抽出法では,特に火山灰由来の土壌において過小評価されることが明らかとなった。そこで,SSSAの抽出法を基準として,振とう時間および固液比を変化させて抽出を行った。その結果,十分に平衡に達したと考えられる固液比1:100(土壌:抽出液)で4時間振とうする条件で,1回抽出によって5回連続抽出の合計量とほぼ近い硫酸イオン量が抽出された。つまり,この抽出条件は,土壌中の硫酸イオンの全量を抽出し,かつ今回供試した母材を異にする土壌にも適用できることが示された。