【目的】摂食・嚥下障害の原因の1つとなる口唇閉鎖機能障害に対して用いられるボタン訓練法で使用される訓練具の大きさと機能賦活効果との関係を明らかにするために,訓練具の大きさの違いによる口輪筋活動と引っ張り力の変化について検討した.
【方法】5名の健常者を対象に,各被験者の口腔模型を基本に実験用ボタン様訓練具として8種類(高径2種,幅径4種)の大きさの異なる口唇牽引プレートを作製した.口腔前庭に挿入した各プレートを上下口唇を接触閉鎖することで保持させた後,プレートを引っ張り試験機によって牽引し,口腔外に脱出する時の引っ張り力と上下口輪筋より導出した口輪筋活動を調べた.
【結果】口唇プレートの高径および幅径のいずれも,その大きさが増大すると脱出時に示される引っ張り力は大きくなった.しかしながら,プレートの幅径・高径の相違と口輪筋活動の変化の関係は様々であり,口唇プレートの幅径・高径と筋活動の大きさには関係がなかった.
【結論】ボタン訓練法による口唇閉鎖機能訓練では,口唇プレートの大きさと引っ張り力を指標とした訓練プログラムではなく,口輪筋の収縮方向や筋電図所見にもとづいた訓練プログラムを考慮する必要があることが示唆された.