ペドロジスト
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論文
高等学校教育「地理探究」における土壌教育内容の変更点と課題
藤井 一至 松浦 陽次郎早川 智恵小﨑 隆
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2024 年 68 巻 2 号 p. 69-76

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抄録
2022年,高等学校の地理科目「地理B」が「地理探究」へ変更され,土壌教育内容も大きく見直された。ペドロジー学会は,高等学校地理科目における土壌教育内容の更新に関する提案書を文部科学省および教科書出版社に提出した。その中で改訂すべきとした5点((1)「ツンドラ土」の削除,土壌図において亜寒帯地域すべてをポドゾル,熱帯地域すべてをラトソルとする過大評価の修正,(2)チェルノーゼム(黒土),プレーリー土,パンパ土のチェルノーゼムへの統一,(3)風化生成物を表すラテライトという用語の削除とフェラルソル(ラトソル)への統一,(4)地図上で明確に分布域を示すことのできないテラロッサ,テラローシャを包含する「ルビソル(粘土集積土壌)」の導入,(5)国内の主要土壌としての黒ボク土,沖積土の追加)について,改訂前後の地理教科書(三社)における土壌教育内容の変更点を比較した。その結果,(1)の地図の更新と(4)のルビソルの導入はなかったものの,全出版社で(3)ラテライトの削除,一部で(5)黒ボク土,沖積土の追加が実現された。また,(2)地域呼称としてチェルノーゼム,プレーリー土,パンパ土,総称として黒土(黒色土)を使うように改訂された。依然として土壌地図は出版社によって異なっており,基礎生物科目において用いられるバイオーム図と地理科目で用いる植生・土壌分布が一致していないという問題を抱えており,正確な土壌情報の提供はペドロジー分野の貢献すべき課題である。
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© 2024 日本ペドロジー学会
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