抄録
神奈川県三浦半島北~中部に位置する二子山の山腹緩斜面における森林土壌で土壌断面調査を行い,その特徴と生成プロセス,および各種分類体系での土壌分類について考察した。分析結果より,本断面は三浦層群逗子層(0.8~0.42千万年前)の泥岩を主たる母材とし,スメクタイトおよびバーミキュライトを主要粘土鉱物とする風化程度の弱い土壌であった。また,上層には宝永山由来の黒色の宝永スコリアを含有しており,これらが土壌の化学的性質に影響を及ぼすと考えられた。すなわち,塩基含量に富む両母材からの塩基供給によって,全層で土壌pHおよび塩基飽和度が比較的高い値(それぞれ,5.7~6.2,68~99%)を示し,国内の一般的な森林土壌の特徴と大きく異なっていた。日本土壌分類体系による土壌分類の結果,本断面は普通カルシウム型富塩基土に分類され,わが国において比較的珍しい特徴を持つ森林土壌であると結論付けられた。