日本歯周病学会会誌
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原著
ヒト歯槽骨骨膜由来細胞を用いた新しい移植片作製法
尾形 顕出口 眞二
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2006 年 48 巻 3 号 p. 192-200

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抄録

本研究の目的はヒト歯槽骨骨膜由来細胞 (HABPCs) による移植片を用いた歯周組織再生療法の可能性を検索することであった。HABPCsを1週間毎に,計4回,播種することにより,多層細胞シートを形成した。その細胞シートを折りたたんだ後,さらに3日間培養することにより移植片を作製した。移植片の形態とタンパク発現は組織学的 (ヘマトキシリン・エオシン染色,アルカリホスファターゼ (ALP) 染色,von Kossa染色) ,免疫組織化学的 (I型コラーゲン (Col-I) ,オステオポンチン (OPN) ,オステオカルシン (OC) ,Ki-67) 検索を用いて行った。
作製した移植片はピンセットで容易に操作できる物性を有し,大きさは約5×10 mmであり,厚みは約1.5 mmであった。組織学的検索の結果,移植片は細胞と細胞外基質のみで構成されていた。移植片の免疫組織化学的染色においてはCol-Iの強い陽性反応所見が認められた。さらにOC,OPN,Ki-67の陽性細胞も観察された。
以上の結果により,今回作製した移植片は石灰化する可能性を有していることが示唆された。

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© 2006 特定非営利活動法人 日本歯周病学会
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