日本歯周病学会会誌
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原著
ラット歯周炎モデルに対するビタミンC配合歯磨剤の効果
友藤 孝明草野 弘揮東 哲司三部 俊博山中 玲子江國 大輔山本 龍生渡邊 達夫
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2006 年 48 巻 3 号 p. 201-207

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抄録

ビタミンCの経口摂取が歯周炎に有効であることが疫学研究により報告されている。ビタミンCによる歯周炎の組織変化を知ることは,歯周炎の予防・治療を考える上で有用である。本研究では,ビタミンC配合歯磨剤の効果を,ラット歯周炎モデルを用いて組織学的に検討した。8週齢のラット50匹を用いた。ラットの上顎第一臼歯の歯肉溝に,1日1回,歯周炎誘発物質 (リポポリサッカライドとプロテアーゼ) を塗布し,歯周炎を惹起した。塗布開始4週後にラットを5群に分け,歯周炎誘発物質に加えて0% (基材のみ : 歯周炎群) ,1%,2%,3%または5%のビタミンCを配合した歯磨剤を3週間塗布した。その結果,3%と5%のビタミンC配合群は歯周炎群よりも,結合組織の好中球数が有意に減少し,コラーゲン密度が著明に増加した。また,歯周組織における8-ヒドロキシデオキシグアノシン (酸化ストレスの指標) の発現は,歯周炎群よりもビタミンC配合群において有意に低かった。これらの結果から,3%以上のビタミンCを配合した歯磨剤は,歯周炎組織において好中球浸潤を軽減し,コラーゲン合成を促すことで炎症を軽減させること,また,1%以上のビタミンC配合歯磨剤は歯周炎における酸化ストレスを低下させることが示唆された。

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© 2006 特定非営利活動法人 日本歯周病学会
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