日本歯周病学会会誌
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症例報告
歯槽骨の改善が認められた重度慢性歯周炎の1症例
滝口 尚宮下 元山本 松男
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2007 年 49 巻 1 号 p. 47-54

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抄録

重度慢性歯周炎は進行性の付着の破壊と骨喪失が生じる感染性疾患である。本報では,重度慢性歯周炎と診断された患者に対して,歯周外科を含む歯周治療を行った。患者は35歳の男性で,初診時臨床検査およびエックス線写真検査の結果,高度なアタッチメントロスと歯槽骨の吸収が多くの部位に認められた。特に歯周基本治療期間においては,歯肉縁下う蝕により破壊された生物学的幅径の回復を目的に,限局矯正(挺出)を行った。歯周外科手術には,歯槽骨整形術を併用した歯肉弁根尖側移動術を行った。外科手術の治癒後,動揺歯への対応として連結全部鋳造冠,硬質レジン前装冠および固定性ブリッジによる最終補綴とした。その結果,術後の付着歯肉量の減少を最小限に抑え,歯槽骨の改善が得られた。術後2年間のメンテナンスを行っているが経過は良好である。

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© 2007 特定非営利活動法人 日本歯周病学会
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