日本歯周病学会会誌
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症例報告
地域における歯周病罹患患者に対する歯科衛生士の役割
種田 祐子
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2007 年 49 巻 3 号 p. 233-238

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抄録

本報では,系統的な歯周治療を受け入れなかったが,繰り返しのモチベーションにより,また下顎大臼歯の崩壊や生活環境の変化を機に,受け入れるようになった重度慢性歯周炎の一症例について報告する。患者は43歳の女性で,当初は下顎左側第一小臼歯の齲蝕による歯冠崩壊と歯肉出血を主訴に来院した。診査の結果系統的な歯周治療が必要と診断されたが,症状が緩解すると来院がとぎれた。しかし7年経過後に下顎大臼歯部の歯周病悪化により再来院して以来,系統的な歯周治療を受け入れ,歯周基本治療,歯周組織再生療法,インプラント治療が遂行された。その後メインテナンスに移行し,全顎的な歯周組織の健康状態が良好に維持された。同時に,全身の健康状態に対する意識が高まり,運動や定期検診を積極的に受けるようになった。地域医療に従事する歯科衛生士にとって,歯科治療を通じて,患者の健康に対する意識を向上させる事が,重要な役割の一つと考えられた。

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© 2007 特定非営利活動法人 日本歯周病学会
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