日本歯周病学会会誌
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症例報告
Papillon-Lefèvre症候群と診断した姉弟例
角舘 直樹菅谷 勉小野 芳男木村 康一福島 千之藤澤 雅子永山 正人森田 学野村 和夫川浪 雅光
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2007 年 49 巻 3 号 p. 239-249

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抄録
Papillon-Lefèvre症候群(PLS)は手掌,足蹠の過角化症と重度の歯周病を主徴とする常染色体劣性遺伝病である。筆者らは,cathepsin C遺伝子の変異が判明したことがきっかけでPLSと診断した姉弟の歯周病症例を経験した。
患者は24歳女性および21歳男性の姉弟で,1999年に青森県立中央病院皮膚科でPLSと診断され,2000年に歯周病精査依頼により同院歯科口腔外科を受診した。皮膚症状として,姉弟ともに両手掌,足蹠,肘頭,膝蓋部に角化性紅斑が認められた。姉の歯周病はプラーク性歯肉炎と診断したのに対し,弟は歯肉の発赤や腫脹,深い歯周ポケット,著しい歯の動揺が多数歯に認められ,遺伝性疾患に伴う広汎型歯周炎と診断した。姉には口腔清掃指導のみを行い,弟には口腔清掃指導,スケーリングに続き,17歯を抜歯,10歯に歯周外科手術を行った。その結果,弟の歯周ポケットの深さはほぼすべて3mm以内に改善し,現在,初診より6年以上が経過しているが歯周病の再発は認められず,良好にメインテナンスされている。
姉は弟と同様にcathepsin C遺伝子の変異を認めたにもかかわらず,歯周組織破壊は軽度であったことから,同遺伝子の変異があっても重度の歯周病を発症しない症例が存在することが明らかとなった。また,弟は通常の歯周基本治療,歯肉剥離掻爬手術を行うことにより良好な改善が得られたことから,遺伝的要因の強い患者でも通常の歯周治療によって歯周病の進行を抑制できることが示唆された。
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© 2007 特定非営利活動法人 日本歯周病学会
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