日本歯周病学会会誌
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原著
1壁性骨欠損における歯根象牙質表面への
BMP-2塗布による歯周組織再生効果
加藤 昭人宮治 裕史菅谷 勉川浪 雅光
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2007 年 49 巻 4 号 p. 296-304

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抄録

本研究の目的は, 1壁性骨欠損における歯根象牙質表面へのBMP-2の塗布が, 歯周組織再生に及ぼす効果を評価することである。
実験動物にはビーグル犬7頭を使用した。先に下顎第一前臼歯と第三前臼歯の抜歯を行い, 8週後に下顎第二前臼歯近心根と遠心根, および第四前臼歯近心根の歯肉歯槽粘膜を部分層弁剥離して骨膜を除去し, 高さ5mm, 近遠心幅3mmの1壁性骨欠損を作製した。露出した根面の歯根膜とセメント質を除去して, 根面を24%EDTAで3分間脱灰後, BMP群ではBMP-2(1000μg/m)を根面に塗布し, 未塗布群ではBMP-2を塗布せずに歯肉歯槽粘膜弁を復位縫合した。観察期間は4週および8週とし, 病理組織学的観察と組織学的計測を行った。
その結果, 8週において歯槽骨新生率は, 未塗布群32.2±15.1%, BMP群70.0±12.9%, セメント質新生率は, 未塗布群13.4±10.6%, BMP群45.4±10.0%, 骨性癒着率は, 未塗布群0%, BMP群13.1±10.0%で, いずれもBMP群は有意に大きかった(p<0.01)。接合上皮深部増殖率は, 未塗布群8.4±10.0%, BMP群1.3±3.1%で, BMP群は有意に小さかった(p<0.05)。
以上の結果から, 1壁性骨欠損においてBMP-2を根面に塗布することは, 歯周組織再生に有効であることが示唆された。

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© 2007 特定非営利活動法人 日本歯周病学会
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