日本歯周病学会会誌
Online ISSN : 1880-408X
Print ISSN : 0385-0110
ISSN-L : 0385-0110
原著
歯周病患者のセルフケアに対する自己効力感測定尺度の開発
-信頼性と妥当性の検討-
角舘 直樹森田 学藤澤 雅子永山 正人川浪 雅光
著者情報
ジャーナル フリー

2007 年 49 巻 4 号 p. 285-295

詳細
抄録

本研究の目的は, 歯周病患者のセルフケアに対する課題固有的な自己効力感の強さを測定する尺度「SESS」を開発し, その信頼性と妥当性を検討することである。43項目からなる尺度原案を作成し, 61名の歯周病患者を対象に予備調査を実施した。項目分析を行った結果, 15項目からなるSESSを作成した。さらに信頼性と妥当性を検証するために, 189名の歯周病患者に対して調査を実施した。因子分析の結果, 「歯科受診の自己効力感」「ブラッシングの自己効力感」「食生活の自己効力感」の3因子が抽出された。SESSは十分な内的整合性を示し(α=0.86), テスト-再テスト間に有意な相関(r=0.73)が認められることから, 高い信頼性が確認された。SESSは一般性セルフ・エフィカシー尺度(GSES)に有意な相関が認められた(r=0.44)ことから, 併存的妥当性が示された。また, 対象者を初診時に刷掃指導を受けた患者(以下, 初診群)とメインテナンスを6か月以上継続している患者(以下, メインテナンス群)に分けて検討した。その結果, 初診群において刷掃指導前後のPCRを比較すると, SESSの高得点群は, 低得点群よりも有意に改善していた(p<0.05)ことから, SESSの予測的妥当性が示された。さらに, メインテナンス群は初診群よりもSESS得点が有意に高い(p<0.001)ことから, 構成概念妥当性が示された。以上から, SESSは高い信頼性と妥当性を有し, 今後の研究への応用に充分耐えうることが示唆された。

著者関連情報
© 2007 特定非営利活動法人 日本歯周病学会
前の記事 次の記事
feedback
Top