日本歯周病学会会誌
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原著
歯周疾患治療剤(ヒノポロンTM)塗布用試作歯ブラシのプラーク除去および歯肉炎改善効果
鈴木 丈一郎常盤 珠美望月 真穂海老沢 政人長野 孝俊湯浅 茂平金指 幹元五味 一博新井 高
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2008 年 50 巻 1 号 p. 30-38

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抄録

今回, 歯周疾患治療剤の塗布方法の違いによるプラーク除去効果と歯肉炎改善効果を検討した。被験者は鶴見大学歯学部5年生のうち歯列不正はなく咬合状態は正常で, 歯肉炎の認められた36名で, 被験歯はRamfjordの6歯とした。使用した薬剤は昭和薬品化工(株)社製ヒノポロンTMで, 塗布方法は, (1)試作歯ブラシ群, (2)塗布群(指), (3)塗布群(試作歯ブラシ)の3種類とし, 被験者を12名ずつの3群に振り分けた。試作塗布用歯ブラシの形状は, 毛の直径0.30mm, 毛束の長さ6mm, 3列23毛束のナイロン毛で柄はストレートタイプとした。臨床パラメーターとして, PlI, GI, BOPを用い, 実験開始前と4週間後で診査を行い, その差を改善率で求め, t検定を用い統計処理を行った。改善率は, PlIは試作歯ブラシ群 : 57.3±5.8%, 塗布群(指) : 44.7±14.8%, 塗布群(試作歯ブラシ) : 61.9±6.8%であり, GIは試作歯ブラシ群 : 82.4±3.5%, 塗布群(指) : 78.9±5.0%, 塗布群(試作歯ブラシ) : 66.7±11.3%であり, PlI, GIともに統計学的有意差は認められず, BOPは, 試作歯ブラシ群 : 64.4±12.9%, 塗布群(指) : 85.5±4.6%, 塗布群(試作歯ブラシ) : 87.9±3.1%であり, 試作歯ブラシ群と塗布群(指)間, 試作歯ブラシ群と塗布群(試作歯ブラシ)間で, 統計学的有意差(p<0.05)が認められた。歯周疾患治療剤(ヒノポロンTM)の使用により歯肉出血抑制効果に差が認められ, 試作塗布用歯ブラシを使用することにより, 指で塗布するのと同等の歯肉出血抑制効果があり, また, 試作塗布用歯ブラシにはプラーク除去効果も期待できる。
日本歯周病学会会誌(日歯周誌)50: 30-38, 2008

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