日本歯周病学会会誌
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原著
共振を応用した音波式電動歯ブラシのプラーク除去効果
両角 祐子菅原 淳道岩堀 敏之宮崎 晶子原田 志保佐藤 治美小倉 英夫佐藤 聡
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2008 年 50 巻 2 号 p. 97-103

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抄録

本研究では, 音波式電動歯ブラシを用い, 振動数, 共振, ブラッシング圧の組合せがプラーク除去効果に与える影響を検討した。2つの共振点を有している, 2種類の試作音波式電動歯ブラシを使用した。両試作機ともに第1共振では低い振動数でありながら横方向の振動振幅が大きくなり, 第2共振では縦振動が大きくなる。本研究では, 振動数を低速(第1共振), 中速(共振領域の振動数ではない), 高速(第2共振)に設定し, ブラッシング圧との組合せで実験を行い, 人工プラークのプラーク除去率で評価を行った。結果, ブラッシング圧100gfでは, 両試作機ともに高速, 低速, 中速の順にプラーク除去率が高かった。ブラッシング圧250gfでは, 高速, 中速, 低速の順であった。ブラッシング圧100gfにおいて, 共振領域の振動数を使用した高速と低速が共振領域の振動数ではなかった中速よりも除去率が高くなる結果を得た。これは, 共振領域では電動歯ブラシの振動振幅が増大するためであり, 共振領域でない中速よりも結果的にプラーク除去率が高くなったためと考えられる。一方, ブラッシング圧250gfでは強いブラッシング圧により, 毛先の動く範囲が限定され, 共振の特性である振動振幅の増大が有効に作用しなかったと考えられる。したがって, 電動歯ブラシを共振領域で駆動させることにより, 振動数が低い領域であっても効果的にプラークを除去でき, そのためにはブラッシング圧も重要であることが示された。
日本歯周病学会会誌(日誌周誌)50(2) : 97-103, 2008

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© 2008 特定非営利活動法人 日本歯周病学会
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