日本歯周病学会会誌
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原著
無平線植毛歯ブラシと従来の平線植毛歯ブラシとの臨床的比較
小川 智久村樫 悦子新井 貴子飯野 賀子榎本 慶子織田 洋武渡辺 裕司多保 学太田 敦士西澤 聡鴨井 久一
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2008 年 50 巻 2 号 p. 104-111

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抄録

無平線植毛技術を用いた歯ブラシは植毛台が薄く, 口腔内の操作性がより高まると考えられる。以前我々は, ブラシの性状と植毛台の厚さが若干異なる2種類の無平線植毛歯ブラシにおけるプラーク除去効果について報告した。そこで, 本研究において歯ブラシの植毛台の厚さがプラーク除去効果に与える影響について検索するため, 刷毛の性状は同じであるが植毛技術の異なる2種類の歯ブラシ(歯ブラシS : 無平線歯ブラシ, 植毛台の厚さ2.5mm, 毛丈9.0mm, 毛先テーパード加工歯ブラシN : 平線歯ブラシ, 植毛台の厚さ5.0mm, 毛丈9.0mm, 毛先テーパード加工)と, 刷毛の性状が異なる無平線歯ブラシ(歯ブラシM : 植毛台の厚さ2.9mm, 毛丈9.5mm, 毛先ラウンド加工)を用い, プラーク除去効果について測定を行った。被験者は, ブラッシング技術が標準化された歯科衛生士学校の第2学年生徒(26名)とし, Ramfjörd の代表6歯(16,21,24,36,41,44)に17,26,27,37,46,47の大臼歯を加えた12 歯を対象とし検討した。
その結果, 全ての部位においてプラーク除去率は歯ブラシSが最も高く, 次いで歯ブラシN, 歯ブラシMの順であった。大臼歯部における歯ブラシSのプラーク除去率(46.9%)は他の歯ブラシ(歯ブラシM : 32.4%, 歯ブラシN : 33.2%)に比べ高く, 歯ブラシMに対しては統計学的に有意(p < 0.05)に高かった。
歯ブラシSのプラーク除去率が歯ブラシNに比べて高かったのは, 植毛台の厚さが影響していることが示唆され, その効果は大臼歯部において顕著であった。
日本歯周病学会会誌(日誌周誌)50(2) : 104-111, 2008

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