日本歯周病学会会誌
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症例報告
細菌感染度を評価しながら包括的歯周治療を行った 広汎型侵襲性歯周炎患者の一症例
冨川 和哉河野 隆幸山本 直史岩本 義博下江 正幸山口 知子本郷 昌一宮本 学前田 博史高柴 正悟
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2014 年 55 巻 4 号 p. 340-348

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抄録
歯周病に対する感受性が高い侵襲性歯周炎患者の治療においては,徹底した感染のコントロールによる疾患活動性の抑制が必要である。とりわけ,歯列不正を伴う歯周炎患者に矯正治療を行うことは,長期に渡る感染のコントロールを行う上で非常に有効である。しかし,歯周炎患者に矯正治療を行う場合に,感染がコントロールされている歯周状態かどうかを決定する基準は未だ明確でない。 今回報告するのは,Agregatibacter actinomycetemcomitans(Aa)の感染が主な病態形成因子と考えられる,初診時 22 歳の広汎型侵襲性歯周炎患者に対して,矯正治療を含めた包括的歯周治療を行った症例である。初診以降,臨床計測値の変化に加えて,細菌 DNA 検査と歯周病原細菌に対する血清 IgG 抗体価検査を用いて,歯周病原細菌の感染度を評価した。その結果,歯周外科治療を含む感染源除去によって,細菌 DNA 検査でAaが検出されず,Aa に対する血清 IgG 抗体価が健常者レベルに推移したことを矯正治療移行前に確認した。すなわち,歯周病原細菌感染度が低下したと判断した後に,矯正治療を行うことで,現在まで良好な SPT を維持している。 本症例においては,Aa の感染度の低下を細菌 DNA 検査と血清 IgG 抗体価を用いて評価することによって,客観的な根拠をもって矯正治療に移行できたと考える。 日本歯周病学会会誌(日歯周誌)55(4):340-348,2013
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© 2014 特定非営利活動法人 日本歯周病学会
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