日本歯周病学会会誌
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臨床報告
広汎型侵襲性歯周炎に抗菌療法を用いた18年間の経過
吉沼 直人好士 亮介好士 理恵子川本 亜紀佐藤 秀一菅野 直之伊藤 公一
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2014 年 56 巻 1 号 p. 65-71

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抄録

広汎型侵襲性歯周炎患者に対し,抗菌療法を併用した歯周治療を行い初診時より18年間経過した症例を報告する。歯周基本治療時に予後不良と判断した歯(36)に手用スケーラーによる SRP,根分岐部には根分岐部用チップを用いた超音波デブライドメントを行った。その後,同部位に歯科用塩酸ミノサイクリン軟膏を 1 週に 1 回,計 4 回連続投与した。歯周基本治療後の再評価時,36 の PPD は 3 mm 以下に改善された。BOP を有するPPD 4 mm 以上の部位には歯周外科治療を行った。再評価後,PPD は全歯 3 mm 以下となったため SPT に移行した。SPT 期間中,来院時のプロービング時に 3 回連続で出血した歯に対し細菌検査を行った。全被験歯にAggregatibacter actinomycetemcomitans (A.a.)が検出されたため,超音波スケーラーによる機械的デブライドメントとアジスロマイシンを用いた経口抗菌療法を行ったところ,術後15ヵ月目の細菌検査まで A.a.は検出限界以下となった。本症例より,広汎型侵襲性歯周炎患者の治療に機械的デブライドメントと抗菌療法を併用することにより歯周炎の進行と再発を長期にわたり予防できる可能性が示された。 日本歯周病学会会誌(日歯周誌)56(1):65-71,2014

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© 2014 特定非営利活動法人 日本歯周病学会
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