日本歯周病学会会誌
Online ISSN : 1880-408X
Print ISSN : 0385-0110
ISSN-L : 0385-0110
臨床報告
重度慢性歯周炎患者に対して包括的治療を行い14年経過した一症例
山本 やすよ植原 俊雄
著者情報
ジャーナル フリー

2014 年 56 巻 1 号 p. 87-94

詳細
抄録

不正咬合を主訴として来院した重度慢性歯周炎患者に対して歯周−矯正治療を含む包括的治療によって 14 年が経過した症例を報告する。患者は 34 歳女性,近隣の歯科医院でう蝕治療をうけた後,数年間歯科治療を受けたことはなかった。う蝕と歯肉出血とともに口唇が閉じられなくなったことが気になり来院した。臨床所見は全顎的に歯肉の腫脹および出血がみられ,PCR 100%,BOP 97%,PD 4 mm 以上が全部位,動揺度 2〜3が8歯であった。また,デンタルX線写真では,高度な歯槽骨吸収と歯石沈着がみられ残根も認められた。まず,患者には自身の口腔状態を説明し関心をもってもらうことから始め,口腔衛生指導と歯周基本治療を行った。プラークコントロールは改善し,歯周−矯正治療,口腔機能回復治療へ順調に治療をすすめることができた。3〜4 カ月毎の SPT へ移行し数年が過ぎた頃,約 1 年間来院がなく,#46 の進行したう蝕とともに歯肉の炎症もみられた。 歯科医師のう蝕治療と同時に再教育とプラークコントロールを行い,その後 3 カ月毎の SPT を継続し維持安定できている。 日本歯周病学会会誌(日歯周誌)56(1):87-94,2014

著者関連情報
© 2014 特定非営利活動法人 日本歯周病学会
前の記事 次の記事
feedback
Top