抄録
本報では,自閉症を伴う侵襲性歯周炎患者に対し,包括的な歯周治療を行い,長期間,良好なメインテナンスを継続している 1 症例について報告する。 患者は,23 歳女性で歯肉の腫脹,歯列不正を主訴として来院した。口腔内は,全顎にわたり著しい歯肉腫脹,発赤,プラークおよび歯石の沈着が認められた。治療計画立案時は,自閉症を考慮し,非外科的歯周治療とした。通常より頻回の口腔衛生指導を行った結果,プラークコントロールは上達し,パニックなどの問題行動もなく歯周基本治療を進めることができた。そのため,歯周外科,矯正治療を含む包括的治療へと計画を変更した。患者は,現在まで 10 年のメインテナンスが良好に経過している。 自閉症患者ということで,妥協的治療を選択するのではなく,患者の特徴や反応を観察していくことで,包括的歯周治療も可能であり,その過程において歯科衛生士の役割は非常に大きいと思われる。 日本歯周病学会会誌(日歯周誌)56(1):82-86,2014