抄録
歯周メインテナンス治療期間における歯周炎の再発が,どの様な患者や部位に生じるのかを同定するために,これまで多くの臨床研究がなされてきた。しかし,再発部位に対して実施される再治療の効果が,どのような因子により影響を受けているのかは不明である。本研究では,歯周メインテナンス治療中に実施した再スケーリング・ルートプレーニング(SRP)の治療効果と関連する臨床的診査項目を,後ろ向き臨床研究にて探索した。慢性歯周炎患者に対して歯周基本治療を行い,未改善部位に対しては歯肉剥離掻爬術を実施した。そして,歯周メインテナンス治療開始時には治癒していたが,リコール時に歯周炎の再発を認め,再 SRP を行った患者 20 名を被験者とした(被験歯数 42 本)。SRP 後の歯周ポケット深さを基準に治療効果を判定し,関連する各診査時の臨床診査項目を統計的に評価した。その結果,再 SRP 後の未改善部位は,過去の検査時(初診時,歯周基本治療後,再 SRP 前)において動揺度が大きく,歯肉剥離掻爬術の実施率が高い傾向を示した。一方,歯周基本治療における一回目 SRP 後の未改善部位は,大臼歯率,プラーク残存部位率,プロービング時の出血陽性部位率が高い傾向を示した。以上の結果から,一回目 SRP の治療効果は細菌感染の程度により左右されると考えるが,再SRP の治療効果はそれとは異なり,患歯支持骨の状態や咬合性外傷により影響を受けると推察された。 日本歯周病学会会誌(日歯周誌)56(3):281-290,2014