日本歯周病学会会誌
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56 巻, 3 号
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巻頭言
ミニレビュー
原著
  • 加藤 由香, 藤瀬 修, 三浦 真由美, 濱地 貴文, 西村 英紀
    2014 年 56 巻 3 号 p. 281-290
    発行日: 2014/09/19
    公開日: 2015/02/18
    ジャーナル フリー
    歯周メインテナンス治療期間における歯周炎の再発が,どの様な患者や部位に生じるのかを同定するために,これまで多くの臨床研究がなされてきた。しかし,再発部位に対して実施される再治療の効果が,どのような因子により影響を受けているのかは不明である。本研究では,歯周メインテナンス治療中に実施した再スケーリング・ルートプレーニング(SRP)の治療効果と関連する臨床的診査項目を,後ろ向き臨床研究にて探索した。慢性歯周炎患者に対して歯周基本治療を行い,未改善部位に対しては歯肉剥離掻爬術を実施した。そして,歯周メインテナンス治療開始時には治癒していたが,リコール時に歯周炎の再発を認め,再 SRP を行った患者 20 名を被験者とした(被験歯数 42 本)。SRP 後の歯周ポケット深さを基準に治療効果を判定し,関連する各診査時の臨床診査項目を統計的に評価した。その結果,再 SRP 後の未改善部位は,過去の検査時(初診時,歯周基本治療後,再 SRP 前)において動揺度が大きく,歯肉剥離掻爬術の実施率が高い傾向を示した。一方,歯周基本治療における一回目 SRP 後の未改善部位は,大臼歯率,プラーク残存部位率,プロービング時の出血陽性部位率が高い傾向を示した。以上の結果から,一回目 SRP の治療効果は細菌感染の程度により左右されると考えるが,再SRP の治療効果はそれとは異なり,患歯支持骨の状態や咬合性外傷により影響を受けると推察された。 日本歯周病学会会誌(日歯周誌)56(3):281-290,2014
  • 大墨 竜也, 竹中 彰治, 坂上 雄樹, 若松 里佳, 寺尾 豊, 大島 勇人, 興地 隆史
    2014 年 56 巻 3 号 p. 291-301
    発行日: 2014/09/19
    公開日: 2015/02/18
    ジャーナル フリー
    本研究では,リステリン®の刺激性や使用感の改善を意図して開発された新規アルコール非含有洗口液®ナチュラルケア;N 群)の Streptococcus mutans 人工バイオフィルムに対する浸透性と殺菌能を既存洗口液[Listerine® Zero(Z 群),リステリン®フレッシュミント(F 群)および 0.12%グルコン酸クロルヘキシジン含有洗口液(CHG 群)]との比較により評価した。人工バイオフィルムはガラスベースディッシュ上で 24 時間嫌気培養することにより作製した。洗口液の浸透性は calcein-AM で染色したバイオフィルムの底面の蛍光消失を共焦点レーザー顕微鏡で経時的に解析することにより評価した。殺菌能は 30 秒作用後の生菌数測定およびバイオフィルム底面の Live/Dead 染色像により評価した。その結果,各洗口液とも 50%蛍光消失時間はバイオフィルムの厚みと正の相関を示し,N 群の浸透速度はZおよびF群と同等かつ CHG 群より有意に高値であった。 生菌数はN,ZおよびF群は同等で共に CHG 群より有意に低値であった。また, Live/Dead 染色像はN,ZおよびF群とも 99%以上が propidium iodide (PI)陽性細菌であり陽性率は CHG 群より有意に高かった。以上の結果から,N 群の浸透性と殺菌能は,Z 群および F 群と同等かつ CHG 群より有意に優れていることが示された。 日本歯周病学会会誌(日歯周誌)56(3):291-301,2014
  • 塩山 秀裕, 水谷 幸嗣, 青山 典生, 須田 智也, 田中 敬子, 遠藤 亜希子, 楠 侑香子, 山脇 史寛 , 藤 原―高 橋 香, ...
    2014 年 56 巻 3 号 p. 302-313
    発行日: 2014/09/19
    公開日: 2015/02/18
    ジャーナル フリー
    要旨:歯周組織再生を目的として,エムドゲインゲル(EMD)を用いた「歯周外科治療におけるバイオ・リジェネレーション法」が行われている。東京医科歯科大学歯学部附属病院では,2007 年 10 月に先進医療としての認可を厚生労働省より受けた。本研究の目的は,先進医療として行われた EMD の臨床成績を評価し,歯周組織再生予測因子を検討することである。実施症例のうち,術後 1年時に検査が可能であった 138 名 204 部位について,プロービングポケットデプス(PPD),臨床的アタッチメントレベル(CAL),エックス線写真上での骨欠損深さの測定を行った。術後 1年時の平均 PPD,CAL,骨欠損深さは,いずれも統計学的に有意な改善が認められ,平均 CAL 獲得量は 2.5±2.0 mm であった。術前の各評価項目別の CAL 獲得量は,術前 PPD が 6 mm 以上,CAL が 6 mm 以上,骨欠損深さが4 mm以上の部位,エックス線写真上での骨欠損角度が 29°未満の部位で有意に増加した。また,暫間固定を行った部位では CAL 獲得量が有意に大きく,喫煙者では非喫煙者に比べて有意に小さかった。術後 3年が経過した 67 名 101 部位では,平均 PPD,CAL で術後 1年時と同等の結果が得られており,改善した状態が維持されていることが示された。以上より,先進医療として適用された EMD は歯周組織再生治療として有用な治療法であると考えられる。 日本歯周病学会会誌(日歯周誌)56(3):302-313,2014.
  • ―地域における医科歯科連携調査研究の結果―
    日髙 竜宏, 藤原 正, 長澤 敏行, 妹尾 智子, 九津見 紳一朗, 川上 智史, 辻 昌宏, 吉村 治彦 , 古市 保志
    2014 年 56 巻 3 号 p. 314-322
    発行日: 2014/09/19
    公開日: 2015/02/18
    ジャーナル フリー
    本研究は病院歯科のない総合病院内科に通院中の 2 型糖尿病患者を対象に,近隣の歯科治療担当歯科医師から歯周組織検査結果を含む歯科検査結果を収集し,それらと全身疾患および全身検査結果との関連性を分析することを目的とした。本研究への参加に同意を得られた糖尿病患者の残存歯数,処置歯数,齲蝕歯数,歯周病診断結果(健康,歯肉炎,軽度歯周炎,中等度歯周炎,重度歯周炎)などの歯科関連データを回収した。それらと年齢,BMI,各種血液指標,動脈硬化性疾患の有無,細小血管合併症(網膜症,腎症,神経障害)の有無などの内科関連データとを比較・検討し,歯周病と全身の健康状態との関連性について解析を行った。重度歯周炎有病者とそうではない患者の各種血液指標に有意差はみとめなかった。ロジスティック回帰解析の結果,重度歯周炎患者の動脈硬化性疾患と細小血管合併症へのオッズ比はそれぞれ 18.7 と 6.38 であった。この結果から本研究の手法によって病院歯科のない総合病院に受診する糖尿病患者の歯科疾患に関する調査や研究が可能となり,各地域における医科歯科連携調査研究を今回と同様の方法で実施することにより,多くの地域における歯周病と全身の健康状態との相関を詳細に分析できる可能性が示唆された。加えて,2 型糖尿病患者における重度歯周炎は動脈硬化性疾患と細小血管合併症の独立したリスクファクターであることが示唆された。 日本歯周病学会会誌(日歯周誌)56(3):314-322,2014
症例報告レビュー
その他
  • 海瀬 聖仁, 河谷 和彦, 梅村 昌孝, 川尻 勝彦 , 吉成 雅子, 今井 剛, 三木 学, 窪川 恵太 , 武藤 昭紀, 内田 啓一, ...
    2014 年 56 巻 3 号 p. 330-341
    発行日: 2014/09/19
    公開日: 2015/02/18
    ジャーナル フリー
    本学では,質の高い教育を行うために,2007 年度から毎年,講義,実習内容に関する学生の意識調査を行い,学生教育へのフィードバックを図っている。今回は,松本歯科大学第 4 学年の学生に実施している歯周病学模型実習における,実習状況の把握,実習内容の再考と改善のため,学生に対して行った 7 年間のアンケート調査の内容,および分析結果を模型実習の概要とともに報告する。 アンケート項目は,歯科保存学講座で独自に作成した 13 項目であった。それぞれを 5 段階方式で評価し,上位 2 段階が占める割合を満足割合,下位 2 段階を不満足割合とした。また,学生数との相関関係を検討し,統計学的分析は,Pearson の相関係数の順位差検定を用いた。学生数と不満足度得点の相関では,「自分の座席の位置」の項目が相関係数 0.915 で,最も学生数と有意な相関が認められた。さらに,「実習帳」,「ビデオデモ」においても有意な相関が認められた。また,「デモ机の位置」,「模型」,「OSCE 実習」においては,統計学的に有意ではなかったが,学生数が増えると不満足度得点が高くなる傾向がみられた。これらのことから,学生数が,実習環境,実習内容に影響していると考えられる。常に教育方法の妥当性の評価,問題点の抽出を行うことは重要であり,その一つの手法として,学生を対象としたアンケート調査は重要な方略であると考えられる。 日本歯周病学会会誌(日歯周誌)56(3):330-341,2014
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