日本歯周病学会会誌
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症例報告
1型糖尿病を有する広汎型侵襲性歯周炎患者に対して包括的歯周治療を行った10年経過症例
松本 ゆみ新井 英雄
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2020 年 62 巻 1 号 p. 16-26

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抄録

糖尿病は代表的な歯周病の全身的リスクファクターである。今回36歳,女性の1型糖尿病を有する広汎型侵襲性歯周炎患者に対し,内科主治医と連携し血糖コントロールに配慮しながら,歯周基本治療,矯正治療,そして歯周組織再生治療と歯周形成手術を含めた歯周外科治療,口腔機能回復治療を含めた包括的歯周治療を行い,初診から10年経過した現在,歯周状態を良好に維持することができている症例を報告する。本症例を通して,歯列不正を伴う広汎型侵襲性歯周炎患者に対して,早期に感染源除去を図ることはもちろん,プラークコントロールしやすい歯周環境を整え,安定した咬合関係を再構成すること,全身状態と局所的なリスクを把握してSPTを継続することが重要であることが示された。

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© 2020 特定非営利活動法人 日本歯周病学会
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