日本歯周病学会会誌
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原著
歯周炎新分類に基づく診断と歯の喪失との関連性評価
島袋 善夫沢田 啓吾小清水 まみ品田 和子浅井 晴美溝口 あゆみ林 裕子塚本 明奈宮後 緑西原 風香西端 隆子島袋 美千代岩山 智明藤原 千春竹立 匡秀村上 伸也
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2021 年 63 巻 3 号 p. 129-142

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抄録

2017年にworld workshopにおいて策定された歯周炎新分類の,本邦における臨床評価が定まっているとは言いがたい。本研究の目的は,歯周炎新分類をretrospectiveに対象被験者に適用し,歯周炎新分類と歯の喪失との関連性を検討することである。被験者総数700人(男性211人,女性489人)の初診時平均年齢は54.4±11.9歳で,被験者の受診期間は6~214ヶ月であった。ステージI,II,IIIおよびIVの被験者数はそれぞれ,21人,142人,392人そして145人であり,グレードA,B,Cの被験者数はそれぞれ10人,386人そして304人であった。ステージ分類した被験者の平均年齢はステージ上昇とともに高くなっていた。歯を喪失した被験者の割合はステージ,グレードの上昇とともに増加した。ステージIおよびステージIIグレードA被験者では,歯の喪失者はなかった。喪失歯進行度(患者一人当たりの年間平均喪失歯数)は,ステージIIグレードB,ステージIIIグレードB,ステージIIIグレードC,ステージIVグレードB,そしてステージIVグレードCでは,それぞれ0.01±0.05(歯/患者/年:以下同),0.06±0.19,0.11±0.23,0.13±0.22,そして0.58±1.04であった。以上から,歯周炎新分類による診断と歯の喪失を指標とした予後は強く関連することが明らかとなった。

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