日本歯周病学会会誌
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原著
歯周炎新分類に基づく診断とメインテナンス期の歯周炎に起因した,およびそれ以外の原因による歯の喪失発生率との関連性
島袋 善夫竹立 匡秀沢田 啓吾小清水 まみ品田 和子浅井 晴美溝口 あゆみ林 裕子塚本 明奈宮後 緑西原 風香西端 隆子島袋 美千代岩山 智明藤原 千春村上 伸也
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2022 年 64 巻 4 号 p. 142-157

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抄録

歯周病は,成人が歯を喪失する一番の原因であるが,歯周炎患者は歯周病以外の理由によっても歯を失う。本研究では,メインテナンス期間中の歯周炎に起因する歯の喪失(以下TLPD)とそれ以外の要因による歯の喪失(TLOR)に関して,歯周炎新分類とそれぞれの発生率との関連性を縦断的に検討することを目的とした。60~143ヶ月(中央値97ヶ月)のメインテナンス治療を受けている被験者(328人)にretrospectiveに歯周炎新分類を適応し,1-KM法あるいはGray法により累積発生曲線を作成した。Cox比例ハザード回帰分析により多変量解析を行った。

ステージIとグレードA被験者ではTLPDおよびTLORは見られなかった。ステージIV被験者,グレードC被験者および広汎型被験者の97ヶ月TLPD累積発生率はそれぞれ6.6%,3.4%および2.8%であり,それぞれの分類群間で有意差を認めた。Cox比例ハザード解析から,歯周炎新分類は性別,年齢やメインテナンス開始時の現在歯数とは独立して全喪失歯(TLOA)発生率およびTLPD発生率と有意な関連があった。一方,TLORに対しては,歯周炎新分類との関連はなく,メインテナンス開始時の現在歯数とのみ有意な関連であった。歯周炎新分類はメインテナンス期間中におけるTLOAおよびTLPDと強い関連性があり,TLORとは有意な関連がないことが示された。

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© 2022 特定非営利活動法人 日本歯周病学会
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