1985 年 27 巻 2 号 p. 369-387
歯周疾患に罹患した抜去歯を用いて, その露出根面と非露出根面に対し, 清拭処理, ルートプレーニング処理, 露出象牙質+ルートプレーニング処理の3種を施した根面の浸透性について検討した。すなわち, 35S (Na2 35S O4) を根面に作用させ, その浸透性を研磨片のオートラジオグラフィーにより検討した。
得られた結果は次の通りである。
1. 35Sは象牙質, セメント質のいずれの根面においても付着, ないしわずかに浸透しているように思われた。
2. 根面がセメント質の場合, 清拭処理とルートプレーニング処理を施した場合との間には35Sの根面での付着性と浸透性に著しい差異はみられなかった。
3. 根面が象牙質の場合, セメント質の場合に比較して根面に対する35Sの付着性ならびに浸透性は著しく弱かった。
4. 各種の根面処理を方法別にみた場合, 露出根面と非露出根面の間では, 35Sの付着性ならびに浸透性に著しい差異はみられなかった。