1986 年 28 巻 1 号 p. 125-130
Fibronectinは種々の物質に粘着性を示す糖タンパクである。これまでに本物質が全唾液のみならず分泌唾液, 獲得被膜や歯垢, 歯石中にも存在することを証明し, 獲得被膜を始めとして歯垢, 歯石の形成に多大に関与していることを示唆してきた。今回, fibronectinが実際にhydroxyapatite表面に吸着して獲得被膜を形成し得ることを確認するため, fibronectinのhydroxyapatiteに対する親和性 (affinity) を定量的に検討した。
結果はLangmuirの吸着等温式に適合し, これより親和性を求めたところ, fibronectinでは2, 709ml/μM, 比較対照に用いたalbuminでは234ml/μMとなり, fibronectinはalbuminと比較にならないほどhydroxyapatiteに対して強い親和性を示すことが明らかになった。