日本歯周病学会会誌
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歯周疾患における免疫系細胞の動態に関する免疫組織学的研究
2. ランゲルハンス細胞の動態
宮武 祥子原 宜興前田 勝正赤峰 昭文相田 宜利青野 正男
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1986 年 28 巻 1 号 p. 179-185

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抄録

辺縁性歯周炎の発症年代と炎症の程度によって, ランゲルハンス細胞 (LC) の動態に相違があるかどうかについて検索を行った。慢性辺縁性歯周炎罹患歯肉52症例, 78部位について, ウサギ抗ヒトS-100蛋白を一次抗体としたペロキシダーゼ抗-ペロキシダーゼ (PAP) 法を用いて, 歯肉上皮内のLCを同定し, 上皮細胞中に占めるその割合を算出した。対照には臨床的健康歯肉および歯肉炎罹患歯肉を用いた。その結果, LCは炎症性細胞浸潤が多くなる程増加する傾向があった。辺縁性歯周炎と対照群とでは, 高年層の場合に限り, 前者に有意に多く, 若年層と対照群とでは有意差はなかった。これらのことからLCは炎症歯肉において抗原提示細胞としての機能を発揮しているものと考えられ, さらに若年層の辺縁性歯周炎は中高年層のそれと病態が若干異なる可能性が示唆された。

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