日本歯周病学会会誌
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塩化リゾチーム含有歯磨剤の歯周疾患への応用
坂田 真理子平岩 弘森田 学鶴見 真由美岡崎 眞奈美正村 眞佐雄小泉 和浩岸本 悦央渡邊 達夫
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1986 年 28 巻 1 号 p. 228-234

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抄録

歯周疾患の予防・治療を行うには, ブラッシングによるプラークコントロールが最も重要である。一方, ブラッシング効果を高めるために, 歯磨剤に種々の薬効成分を加える研究も行われている。今回, フッ化ナトリウムを配合し塩化リゾチームの安定化をはかった新しい歯磨剤を歯肉炎に応用し, その効果を二重盲検法により検討した。男子学生67名に, プラシーボ歯磨剤, クロールヘキシジン含有歯磨剤, 塩化リゾチーム含有歯磨剤を4週間使用させ, 炎症の改善で効果の判定を行った。
その結果, 塩化リゾチーム含有歯磨剤を使用した場合, 他の2種の歯磨剤と比較して発赤および腫脹に有意な改善が認められた (x2-検定) 。以上より, 本歯磨剤は, 炎症症状の一部を抑えブラッシングの補助的効果が認められることが明らかとなった。歯磨剤という応用法は, 家庭療法として手軽に利用できることから公衆衛生レベルでの有用性が示唆された。

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