この研究の目的は若年者の前歯部歯列不正にともなって生じた歯周組織の炎症や異常 (深いポケット, 角化歯肉・付着歯肉の不足, 歯の動揺) に対して, 歯周治療と矯正治療を行い, その効果を長期にわたって観察し, このような問題をもつ若年者の治療効果について考察することである。Gingival Index, Probing depth, 角化歯肉幅, 付着歯肉幅, 歯の動揺度, プラークスコアの変化を2~3年6ヵ月にわたって治療を続けながら観察した。その結果, 1) G.I. は1.32±0.48が0.23±0.48に改善した (P<0.001) 。2) Probing depthは2.10±0.70mmが1.88±0.64mmに減少した (p<0.001) 。3) 角化歯肉幅は3.76±1.24mmが3.99±1.20mmに増加した (p<0.001) 。4) 付着歯肉幅も1.72±0.94mmが2.45±1.01mmに増加した (p<0.001) 。5) 歯の動揺度は0.37±0.50が0.04±0.20と著明に減少したP<0.001) 。6) プラークスコアは86.3±17.0%が30%台に下ったが, 個人差が大きいことも判明した。