日本歯周病学会会誌
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コンピュータシステム導入による歯周初期治療効果の解析
吉江 弘正土田 和由清水 光雄原 耕二
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1986 年 28 巻 1 号 p. 299-307

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抄録

プラークコントロール, 歯石除去, 歯肉掻爬, 咬合調整暫間固定を含む初期治療を, 143名の歯周疾患罹患者に施し, その治療効果を, コンピュータシステム (NEC PC9801F, ハードディスク, カードリーダー, CRT, プリンター) を使用して解析を行った。その結果, プラークスコアは, 初診時58.3±24.5%に対して, 初期治療終了時 (I-1), 再初期治療終了時 (I-2) では30.7±16.6%, 29.9±16.3%となり有意に減少した。歯肉炎指数2, 動揺度2度の割合が, 初診時26.9, 13.0%であったものが, I-1では8.8, 5.2%, I-2では3.0, 4.3%と著明に減少した。ポケットの深さでは初診時4~6mmのポケットを有した部位の平均が4.6±0.8mmであったものが, I-1では2.8±1.3mm, I-2では2.4±1.2mmと有意に減少した。初診時のポケットが深いほど, 治療後ポケットの減少値は大きく, 大臼歯に比べて前歯でより減少がみられた。根分岐部では, 減少する割合が小さく, ポケットの残存しやすいことが示された。また0.3-1.7mmと, 歯肉の臨床的付着の得られることが確認された。

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